作品解説
世良臣絵(せら・とみえ)「霧流るヒースの花咲く丘・ブルターニュ」油彩
ヒースというとE・ブロンテの小説『嵐が丘』のイングランド北部の荒野で有名ですが、ここフランスのブルターニュ地方でもピンク色が一面に咲き乱れています。手前にあるのは「フィニステール」とかかれた道標。丘の上の堅牢な白い「石造りの家」が、灰色の雲の流れと立ち込めた霧の中で同化しています。この丘の向こうはドーバー海峡。第二次世界大戦で上陸作戦を展開した連合軍の兵士や、海老漁で遭難した漁師を祀る大理石のマリア像が建っているそうです。この風景の中にいるとその祈りにも似た旋律が聴こえてきます。
ヒースというとE・ブロンテの小説『嵐が丘』のイングランド北部の荒野で有名ですが、ここフランスのブルターニュ地方でもピンク色が一面に咲き乱れています。手前にあるのは「フィニステール」とかかれた道標。丘の上の堅牢な白い「石造りの家」が、灰色の雲の流れと立ち込めた霧の中で同化しています。この丘の向こうはドーバー海峡。第二次世界大戦で上陸作戦を展開した連合軍の兵士や、海老漁で遭難した漁師を祀る大理石のマリア像が建っているそうです。この風景の中にいるとその祈りにも似た旋律が聴こえてきます。
世良臣絵(せら・とみえ)「如月の東大寺・学堂裏」油彩
この作品は、1985年第47回一水会展に出品したもので、写生場所は正倉院の右側、
大仏殿の真裏になります。荒涼とした枯れ枝の巨木群がそびえる向こう側に、
はっとするような鮮やかな朱色の門がのぞく。松林の下草が枯れ淡く黄色みを帯びた茶色の地面から、
松の大木が黒々と巨人のように立ち並び、その枯れ枝の木の間から見える澄み切った空。
雄大な東大寺の屋根が空を圧しそびえ、その鴟尾は冬の光に冴えた黄金色に輝き、
甍に舞う雪のきらめきを受けています。この風景に魅せられ、私は毎年2月の初旬にこの場所を訪れます。
木炭のデッサンから始まり、コンテ、水彩、油彩と何枚描いたことでしょう。
厳寒の景色の中心で存在感を放つ赤門の求心力。その力にひかれるように大胆なタッチで描いています。
私の描く水彩の草花をご覧になった方は皆さん「これは同じ人?」とおっしゃいますね。
残念ながら、今この風景を見ることができません。虫のせいでしょうか、
松は植え替えられ下草も刈りはらわれています。私の大好きだった赤門は青々とした若松に、
視界から遮られてしましました。実際にこの構図を再現できるのは、
若木が老いるだけの年月を経た遠い未来の「如月」なのかもしれません。
この作品は、1985年第47回一水会展に出品したもので、写生場所は正倉院の右側、
大仏殿の真裏になります。荒涼とした枯れ枝の巨木群がそびえる向こう側に、
はっとするような鮮やかな朱色の門がのぞく。松林の下草が枯れ淡く黄色みを帯びた茶色の地面から、
松の大木が黒々と巨人のように立ち並び、その枯れ枝の木の間から見える澄み切った空。
雄大な東大寺の屋根が空を圧しそびえ、その鴟尾は冬の光に冴えた黄金色に輝き、
甍に舞う雪のきらめきを受けています。この風景に魅せられ、私は毎年2月の初旬にこの場所を訪れます。
木炭のデッサンから始まり、コンテ、水彩、油彩と何枚描いたことでしょう。
厳寒の景色の中心で存在感を放つ赤門の求心力。その力にひかれるように大胆なタッチで描いています。
私の描く水彩の草花をご覧になった方は皆さん「これは同じ人?」とおっしゃいますね。
残念ながら、今この風景を見ることができません。虫のせいでしょうか、
松は植え替えられ下草も刈りはらわれています。私の大好きだった赤門は青々とした若松に、
視界から遮られてしましました。実際にこの構図を再現できるのは、
若木が老いるだけの年月を経た遠い未来の「如月」なのかもしれません。
世良臣絵(せら・とみえ)「富良野のラベンダー」油彩、サイズ40P、1991年
何度も現地を訪れ探し辿り着いた、北海道富良野市に広がるラベンダー畑。
画面奥に見えるのは霧に包まれた十勝連峰。
ジャガイモの白い花と紫のコントラスト、
水色の屋根がどこかおとぎ話の中のように感じる作品。
写生当時の風景は今はもうない。
何度も現地を訪れ探し辿り着いた、北海道富良野市に広がるラベンダー畑。
画面奥に見えるのは霧に包まれた十勝連峰。
ジャガイモの白い花と紫のコントラスト、
水色の屋根がどこかおとぎ話の中のように感じる作品。
写生当時の風景は今はもうない。
世良臣絵(せら・とみえ)「日光・小田代ガ原~アザミの群生~」油彩、サイズ40M、1996年
栃木県日光にある「小田代ガ原の貴婦人」と呼ばれる一本の白樺(シラカンバ)の木。
白い樹皮と鮮烈な赤いアザミの対比が印象的な作品。
女流画家は当時85歳。凛と佇む姿の木と画面中央に続く道が、
見る者を遠くの山へいざない、人生の道のりを表すかのよう。
栃木県日光にある「小田代ガ原の貴婦人」と呼ばれる一本の白樺(シラカンバ)の木。
白い樹皮と鮮烈な赤いアザミの対比が印象的な作品。
女流画家は当時85歳。凛と佇む姿の木と画面中央に続く道が、
見る者を遠くの山へいざない、人生の道のりを表すかのよう。
『TOMIE SERA 世良臣絵作品集 自然に魅せられて』
オールカラー 160ページ 定価3500円
ISBN 978-4-9904412-0-3 C0071 \3333E
世良美術館より通信販売開始しました♪
ギフトラッピング付きで発送いたします。
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